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三角錐数は三角数を重ねた数列!その一般項や美しい性質を解説!

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三角錐数 アイキャッチ

 数学の魅力的な世界には、様々な数列が存在します。

 その中の1つである「三角錐数」は、三角数を積み重ねて形成される数列であり、その形状が三角錐を連想させます。

 この記事では、三角錐数の一般項の導出方法や、その独特な性質や数学的な魅力について解説!

 三角錐数の第22項は2024なので、大学受験や定期テストで出てくるかもしれません。

この記事を読んでわかること

三角錐数とは何か?

 まずは、三角錐数がどんな数列なのかを見てみましょう。

三角錐数の定義

 三角錐数は、三角数や正方形数などと同様に、ある規則に従って玉や石を置いた時の形から定義されます。

三角錐数の定義

 空間上に三角錐の形になるように玉や石を配置するとき、必要な玉や石の総数を表した数(列)を三角錐数という。

 三角錐数の第3項までを図にすると、以下のようになります。

三角錐数
<図1> 三角錐の玉の置き方(第3項まで)

 三角錐の中でも全ての面が正三角形なので、正四面体数とも呼ばれます。

三角数との関係

 三角錐数は、紀元前6世紀のピタゴラスが定義した三角数と密接な関係があります。

三角数の定義

 平面上に正三角形の形になるように玉や石を配置するとき、必要な玉や石の総数を表した数(列)を三角数という。

<図2> 三角数の玉の置き方(第4項まで)

 3つめの三角錐数で考えると、上から1段目が$~1~$、2段目が$~3~$、3段目が$~6~$となっているのがわかるでしょう。

 

<図3> 三角錐の各段は三角数

 数字で三角数と三角錐数を整理すると、以下のような表でまとめられます。

<表4> 三角数と三角錐数の初項~第8項
$~n~$$1$$2$$3$$4$$5$$6$$7$$8$
三角数$1$$3$$6$$10$$15$$21$$28$$36$
三角錐数$1$$4$$10$$20$$35$$56$$84$$120$

 図3や表4からもわかる通り、$~n~$番目の三角錐数は、

として表すことができます。

三角錐数の一般項とその求め方

 三角錐数$~a_n~$は次のような式で求められます。

三角錐数の一般項

 $~n~$番目の三角錐数$~a_n~$は、

a_n=\frac{n(n+1)(n+2)}{6}

で求めることができる。

 この求め方を、先ほどの三角数$~\left(~\displaystyle b_n=\frac{n(n+1)}{2}~\right)~$との関係2通りから導いてみましょう。

① n番目までの三角数の和で表せる

 三角錐数は三角数をどんどん重ねていった数列でした。

 そのため、$~1~$番目から$~n~$番目までの三角数の和で表すことができます。

三角錐数を三角数の和として導く
\begin{align*}
a_n&=\sum_{k=1}^{n} b_k  \\
\\
&=\sum_{k=1}^{n} \frac{k(k+1)}{2}  \\
\\
&=\frac{1}{2}\sum_{k=1}^{n}(k^2+k)  \\
\\
&=\frac{1}{2}\left\{ \frac{n(n+1)(2n+1)}{6}+\frac{n(n+1)}{2}   \right\}  \\
\\
&=\frac{n(n+1)}{12}\left\{ (2n+1)+3   \right\}  \\
\\
&=\frac{n(n+1)}{12}( 2n+4)  \\
\\
&=\frac{n(n+1)(n+2)}{6}  \\
\end{align*}

  和の記号$~\sum~$の良い計算問題になりそうですね。

② n-1番目の三角錐数とn番目の三角数の和

 既存の$~n-1~$番目の三角錐数に、新たに$~n~$番目の三角数を追加することで、$~n~番目の三角錐数を作ることができます。

1つ手前の三角錐数に三角数をたして導く

 $~n \ge 2~$とする。
 $~a_n~$と$~b_n~$の間には次のような漸化式が成り立つ。

a_n=a_{n-1}+b_n

 $~n~$を$~n+1~$に置き換えることで、見慣れた形にすると、

a_{n+1}=a_{n}+b_{n+1}

 であり、$~b_{n+1}~$を代入することで、

\begin{align*}
a_{n+1}&=a_{n}+\frac{(n+1)\{(n+1)+1\}}{2}  \\
\\
&=a_{n}+\frac{(n+1)(n+2)}{2}  \\
\end{align*}

なので、階差数列型の漸化式の解法を適用する。

\begin{align*}
a_n&=a_1+\sum_{k=1}^{n-1} \frac{(k+1)(k+2)}{2}  \\
\\
&=1+\frac{1}{2}\sum_{k=1}^{n-1}(k^2+3k+2)  \\
\\
&=1+\frac{1}{2}\left\{ \frac{(n-1)n(2n-1)}{6}+\frac{3(n-1)n}{2} +2(n-1)  \right\}  \\
\\
&=\frac{12}{12}+\frac{1}{12}\left\{n(n-1)(2n-1)+9n(n-1)+12(n-1)  \right\}  \\
\\
&=\frac{12+2n^3-3n^2+n+9n^2-9n+12n-12}{12}  \\
\\
&=\frac{2n^3+6n^2+4n}{12}  \\
\\
&=\frac{n^3+3n^2+2n}{6}  \\
\\
&=\frac{n(n^2+3n+2)}{6}  \\
\\
&=\frac{n(n+1)(n+2)}{6}  \\
\end{align*}

 この式に$~n=1~$を代入すると、

\frac{1(1+1)(1+2)}{6}=1 

なので、$~a_1~$と一致する。

 よって、

a_n=\frac{n(n+1)(n+2)}{6} 

が求められた。

  階差数列型なので、計算や手続きが面倒。

 ①三角数の和として求めた方がシンプルでわかりやすいでしょう。

奇数番目の三角錐数の性質

 奇数番目の三角錐数$~1~,~10~,~35~,~84~,~\cdots~$に共通する性質の紹介です。

奇数番目の三角錐数は奇数の平方和で表せる

 そのシンプルさが美しい性質です。

奇数番目の三角錐数の性質

 奇数番目の三角錐数は奇数の平方和で表せる。

 実際に三角錐数の第1項、第3項、第5項、第7項を見てみましょう。

奇数番目の三角錐数を奇数の平方和で表した例
\begin{align*}
a_1&=1=1^2  \\
a_3&=10=1^2+3^2  \\
a_5&=35=1^2+3^2+5^2  \\
a_7&=84=1^2+3^2+5^2+7^2
\end{align*}

 一般化すると、

$~2k-1~番目の三角錐数(奇数で$~k~$番目)は、$~k~$番目までの奇数の平方和で表せる。

ということになります。

Σ によって証明ができる

 求めたいのは次の等式。

a_{2k-1}=\sum_{\ell=1}^{k}(2\ell-1)^2

 右辺を式変形していくことで、証明をすることができます。

奇数番目の三角錐数の性質の証明
\begin{align*}
\sum_{\ell=1}^{k}(2\ell-1)^2&=\sum_{\ell=1}^{k}(4\ell^2-4\ell+1)  \\
\\
&=\frac{4k(k+1)(2k+1)}{6}-\frac{4k(k+1)}{2}+k  \\
\\
&=\frac{8k^3+12k^2+4k-12k(k+1)+6k}{6}  \\  
\\
&=\frac{8k^3+12k^2+4k-12k^2-12k+6k}{3}  \\  
\\
&=\frac{8k^3-2k}{3}  \\  
\\
&=\frac{2k(4k^2-1)}{3}  \\  
\\
&=\frac{(2k-1)(2k)(2k+1)}{6}  \\
\\
&=a_{2k-1}

\end{align*}

 $~\displaystyle \sum~$が登場する恒等式の証明は、$~\displaystyle \sum~$側から式変形をしていくと計算しやすいです。

偶数番目の三角錐数の性質

 偶数番目の三角錐数$~4~,~20~,~56~,~120~,~\cdots~$に共通する性質の紹介です。

偶数番目の三角錐数は偶数の平方和で表せる

 奇数のときと同様の性質です。
 偶数のときにも同様に成り立っているのが美しさを際立たせています。

偶数番目の三角錐数の性質

 偶数番目の三角錐数は偶数の平方和で表せる。

 実際に三角錐数の第2項、第4項、第6項、第8項を見てみましょう。

奇数番目の三角錐数を奇数の平方和で表した例
\begin{align*}
&a_2=4=2^2  \\
&a_4=20=2^2+4^2  \\
&a_6=56=2^2+4^2+6^2  \\
&a_8=120=2^2+4^2+6^2+8^2
\end{align*}

 一般化すると、

$~2k~番目の三角錐数(偶数で$~k~$番目)は、$~k~$番目までの偶数の平方和で表せる。

ということになります。

こちらも Σ によって証明ができる

 求めたいのは次の等式。

a_{2k}=\sum_{\ell=1}^{k}(2\ell)^2

 こちらも、右辺を式変形していくことで、証明をすることができます。

偶数番目の三角錐数の性質の証明
\begin{align*}
\sum_{\ell=1}^{k}(2\ell)^2&=\sum_{\ell=1}^{k}(4\ell^2)  \\
\\
&=\frac{4k(k+1)(2k+1)}{6}  \\
\\
&=\frac{2k(2k+2)(2k+1)}{6}  \\
\\
&=\frac{(2k)(2k+1)(2k+2)}{6}  \\
\\
&=a_{2k}

\end{align*}

 偶数のほうが式変形がしやすいですね。

 この性質を利用すると、三角錐数の第22項である$~2024~$は、次のように変形できます。

2024=2^2+4^2+6^2+\cdots+22^2

パスカルの三角形にも三角錐数が登場する

 最後におまけ。

 フランスのブレーズ・パスカル(Blaise Pascal , 1623~1662)が研究した「パスカルの三角形」の中にも、三角錐数が登場します。

<図5> ブレーズ・パスカル
(出典:See page for author, Public domain, via Wikimedia Commons)

 パスカルの三角形の4段目の$~1~$を起点に、ななめに三角錐数が現れているのがわかるでしょう。

<図6> パスカルの三角形の中の三角錐数と三角数

 パスカルの三角形の作り方と、$~n~$番目の三角錐が$~n-1~$番目の三角錐数と$~n~$番目の三角数の和で作られることが一致しているため、このように三角錐数が出てくるのです。

 1654年、整数論が好きだったピエール・ド・フェルマー(Pierre De Fermat , 1607~1665)が、三角数がパスカルの三角形に登場することをパスカルに手紙で伝えて数論に誘おうとしたものの、パスカルはスルーしたという歴史もあります。

フェルマー

パスカル君、君の三角形では三角数が出てくるよ。面白いよね~。
一緒に数論やろう!

パスカル

僕は興味ないなぁ。最近のマイブームは幾何学や神学。
読まなかったことにしよう。

 フェルマーは三角錐数の存在には気づいていたのでしょうか‥‥。

<図7> ピエール・ド・フェルマー
(出典:See page for author, Public domain, via Wikimedia Commons)

まとめ

 三角錐数(正四面体数)の性質について詳しく見てきました。

  • 三角錐数は、三角数をたしていった数列である。
  • 奇数の三角錐数は、奇数の平方和で表せる。(偶数も同様)
  • パスカルの三角形の中にも三角錐数が現れる。

 $~2024~$が第22項に登場するため、$~2024~$年実施の入試や定期テストで関連した問題が出てくるのではないでしょうか?

 数学Bの定期テストや大学入試に備えて、$~\displaystyle \sum~$の復習をしておきましょう。


奇数には奇数(の平方和)を。偶数には偶数(の平方和)を。

ハンムラビ法典みたい‥‥。

参考文献(本の紹介ページにリンクしています)

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